国際

カナリアの警告

とうとう長期金利が、史上初めてマイナスを記録しました。

新発10年物国債利回りは、一時「マイナス0.035%」まで低下し、「マイナス0.025%」となっています。

これで実に国債発行残高の70%が、利回りゼロ%以下になっていることになり、まさに異常事態です。

どこまで低下するのか見当もとれませんが、仮にマイナス幅が拡大し、例えばマイナス1%からマイナス2%等、低下が進みますと、コアCPI「2%」の物価目標から遠ざかっていくことになります。

長期金利がマイナス2%で物価がプラス2%になるはずがない。

早期に物価目標プラス2%にもっていくためにマイナス金利付き量的・質的金融緩和をしたはずなのですが、実際は逆の効果となっています。

円安のはずが円高となり、株高のはずが株安となり、コアCPI2%からも徐々に遠ざかっている。

長期金利がマイナスをつけた本日、日経平均は「918.86円安」の暴落を演じています。

東芝とシャープもそろって170円を割っています。

銀行株も更に売られています。

銀行株

あの不気味なバルチック海運指数も、執拗に下げています。

バルチック海運指数(バルチック・ドライ・インデックス)

史上最安値「293ポイント」をつけ、さらに下げ止まる兆しが見えません。

原油価格は一時底を打ったような記事が散見されたのですが、やはり下落基調に戻っています。

石油に一体何が本当におきているのだろう? マスコミに載らない海外記事

この記事にはこうあります。

今後数カ月で、何か非常に大きな、非常に劇的なものが、世界が全く予期していない何かが世界石油市場で形成されつつあるという非常に強い直感を私は持っている。

逆オイル・ショック」はまだ始まったばかりであり、本番はこれからだと思っていますが、はや楽観論が出てきています。

WSJ(ウォールストリート・ジャーナル)やスプートニクは、今年の6月ぐらいまでは一時バレル20ドルを割る時があるかもしれないが、後半にかけて原油価格は回復に向かい、年末にバレル50ドルを回復すると予測しています。

原油安は7月までと見ているようです。

今年末までに原油価格は50%上昇か? スプートニク

今年第4四半期には、ブレント原油の価格は1バレル=48ドルに上がり、WTI(米国産標準油種)の価格も1バレル=46ドルに上昇するとの事だ。

投資銀行、サクソ銀行資源市場分析部のハンセン部長は「継続する需要の増加と米国内の採掘量の低下が組み合わさった結果、市場には、今年末までに1バレル=40から50ドルのレベルまで原油価格が値上がりする諸条件が作られるだろう」と予測している。

また英国のスタンダード・チャータード(Standard Chartered}銀行のアナリスト達は、さらに楽観的な見方を取り、第4四半期には原油価格は1バレル=70から75ドルを期待できるとしている。

年末になれば分かりますが、想像以上に原油安は、世界経済にとってはまずい事態であることが理解され始めてきているようです。

原油安、今回は世界経済にとって厄介な問題となる可能性 ブルームバーグ

「原油価格の上昇を望み、まして祈ることになるとは思いもよらなかった。

原油はぜひとも値上がりする必要がある」

ロシアやサウジ、ナイジェリア、ブラジルの経済成長は大きく鈍化し、マイナス成長となっているケースもある。

「歴史を振り返ると、資源生産国がたどる可能性の高い運命は極めて悲観的なものだ」

1980年代には「デフォルトを回避した資源国はむしろ例外だった」とし、同氏がモニターしていた国々のうち68%はデフォルトに陥ったと述べた。

ベネズエラについて、市場はデフォルトに陥る可能性のある国の一つとみている。

2022年に満期を迎えるベネズエラ国債は額面1ドル当たり38セントで取引されており、利回りは40%を超えている。

IMFと世界銀行は既に、アゼルバイジャンとスリナムに対する緊急融資の提供について協議している。

ナイジェリアも世銀とアフリカ開発銀行に支援を求めている。

国家ではこうですが、企業単位ではどうでしょうか。

ソース: 中国新聞

石油元売り大手JXホールディングスは、原油安をうけて今年3月期決算で「3300億円」の赤字となり、二期連続の赤字となります。

JXホールディングスだけではなく、全社が赤字です。

石油元売り4~12月期決算、原油安響き全社赤字に 産経

原油安に伴う在庫の評価損が膨らみ、JXホールディングス(HD)をはじめ全社が最終赤字を余儀なくされた。

石油開発事業の減損損失も足を引っ張った。

28年3月期も全社が業績予想を下方修正し、2期連続で最終赤字の見通しだ。

日本はこうですが、海外も同じです。

エクソン・モービルも58%の減益です。

米エクソンモービル、純利益58%減 15年10~12月 日経

石油メジャー・シェブロンも四半期ベースで13年ぶりの赤字です。

米シェブロン、原油安で13年ぶり最終赤字 15年10~12月 日経

原油安の影響が経営体力のあるメジャー各社にも及んでおり、業界全体で投資活動などの停滞感が強まりそうだ。

15年10~12月期決算ではシェール企業の米ヘス・コーポレーションが5四半期連続の赤字決算となった。

同業のコンチネンタル・リソーシズも16年の投資を15年に比べ66%削減するなど、シェール企業の生産・投資活動もここにきて急減速している。

石油メジャーの変調も加わることで、米国景気全体の一段の減速が懸念されそうだ。

イギリスの石油大手「BP」も「65億ドルの赤字」です。

英BP、2015年は20年ぶり大幅赤字 原油急落で ロイター

ロイヤル・ダッチ・シェルも第4四半期で「44%」の減益です。

英蘭系シェル:昨年10-12月は44%減益-原油急落が響く ブルームバーグ

1バレル30ドルで「セブン・シスターズ」は全滅です。

鉱業大手のBHPビリトンもシェール資産の評価損「72億ドル」を計上します。

原油安ショック(33)=米国諸州で税収減、BHPがシェール資産で評価損

カナダの石油・天然ガス企業のハスキー・エナジーは1月19日、2015年第4四半期の配当中止と16年の投資削減を発表した。

原油価格の低迷によるとした。

英蘭系ロイヤル・ダッチ・シェルが、アラブ首長国連邦(UAE)で展開するアブダビ・バブ天然ガスプロジェクト(投資額は100億ドル)から撤退する。

豪鉱業大手のBHPビリトンが1月半ば、米国のシェール資産の評価損が72億ドル(税引き前)になる見通しと発表した。

原油価格の下落は各方面に影響を与えています。

WSJやスプートニクは、今年後半にバレル50ドル前後を予想しているのですが、モルガンスタンレーは見通しを引き下げています。

モルガン・スタンレー:原油安は予想より長引く-価格見通し下方修正 ブルームバーグ

原油安は従来予想されていたよりも長引くとの見通しを、米モルガン・スタンレーが示した。

同行は今年の四半期ベースの原油価格見通しを最大51%引き下げた。

モルガン・スタンレーは原油価格が今年の大半の期間を通じ下落すると予想していると説明した。

従来は、今年は四半期ごとに徐々に上昇との見方を示していた。

世銀も今年の原油相場を「バレル51ドル」から「バレル37ドル」に引き下げています。

今年の原油相場見通し、37ドルに引き下げ=世銀 ロイター

サウジを中心とするOPECとロシアを中心とする非OPECが協調減産できれば原油価格も上がっていくのでしょうが、どうもサウジが減産する気はないようで、もともと今回の2014年末からの原油価格下落はサウジが仕掛けたものであり、協調減産するとは思えない。

原油安によって財政的に打撃を受けてはおりますが、アラムコを上場させることによって歳入不足を補おうとしています。

ただあまりにも規模が大きすぎるために、わずか「5%以下」の上場となるようで、それでもエクソンモービルの10倍の原油埋蔵量を誇っています。

石油関連の収入は、サウジアラビアの財源の75%を占めています。

歳入不足を補うならば協調減産をして原油価格を上げればいいのに、サウジアラムコを上場させるというのは、減産で歳入不足を補う気ははなく、株式の上場によって補おうとしている。

つまり減産する気はないから上場しようとしているわけであり、それは原油価格を更に下落させんとしているとしか見えない。

ならば今後も生産を増加させていくはずであり、協調減産はないということになる。

つまり供給側からの減産と価格の上昇は期待できない。

ならば需要側から価格を押し上げていくしか原油価格は上がらない。

しかして需要の増加は景気減速によって、これも期待できない、とすれば原油価格は今後も下落していかざるを得ない。

本当に今年末から原油価格は上昇に転ずるのでしょうか。

需給関係がそう簡単に均衡するとは思えないわけです。

少し疑問に思っています。

原油価格は今後も下落していくと見ておいた方がいいようです。

するとジャンク債市場の崩壊と金融危機が、次ぎに予測されてくる。

「原油安」→「金融危機」→「実体経済の悪化」→「ソブリン・ショック」のルートです。

株安、債券不安、デフレです。

逆オイル・ショックは、恐らくこのルートを辿る。

長期金利がマイナスになったということは、既に限界が来ていると言うことだと思います。

原油価格の下落は世界恐慌か、場合によっては世界経済の崩壊を招くかもしれません。

次ぎの不況では中央銀行に打つ手はない。

全世界的規模で「神と学」との戦いをしているのかもしれません。

神が勝つのは分かっているわけですから、ならば世界経済は崩壊して行かざるを得ない。

ゼロヘッジは原油価格の下落は「炭鉱のカナリア」と言っていましたが、何をカナリアは前もって警告しているのでしょう。

それは世界経済の「終わりの始まり」を警告しているのかもしれません。

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コメント

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